材に付く耳を、表と裏から眺める
ジェリー・イヤーの子実体は、耳や浅い杯を思わせる薄い形で、材へ横から付く。縁は丸みを帯びたり、波打ったり、折れ込んだりする。長い中央の柄の先に傘を開く菌ではない。何枚かが重なっていても、各々の耳の付着点と内側の向きを読むことができる。 [2] [3]
色は淡い褐色から赤褐色で、ときに紫がかった色も帯びる。水分を含んだ体は半透明で、薄い縁を光が透ける。一方、厚い部分や暗い背景では色が濃く見える。単一の茶色を塗った板というより、厚みと光で見え方が変わるゼラチン質の面である。 [2] [3]
First Natureには英国の若い個体が、MycoKeyにはデンマークの複数の写真が示される。丸い小さな体から、内側を大きく開いた耳までが見られる。顔のように見える凹みがあっても、動物の耳を模した器官ではなく、菌の子実体の輪郭として捉えたい。 [3] [2]
滑らかな内面と、細かな毛のある外面
凹んだ側の表面は滑らかで、成長や折れ方によってゆるい皺が見える。反対側には細かな灰色の毛があり、ビロードのような質感を帯びる。同じ褐色の耳でも、内と外を同じつるつるの面としてまとめると、この菌の特徴の一つが失われる。 [2] [3]
下面に板状のひだや、密な針が並ぶわけではない。耳のような曲面自体を読む菌であり、傘の真下に別の構造を描き足す必要はない。縁の薄さ、内面の凹み、外側の毛の三つを分けて見ると、ゼリー状のかたまりという印象から一歩深く観察できる。 [2] [3]
欧州の形態解説では胞子紋は白く、胞子は細長く曲がった形として示される。目で見える子実体の褐色と、集まった胞子の色は同じではない。耳の形や外面の毛といった巨視的な特徴のほかにも、顕微鏡で比べられる別の情報がある。 [2]
英国の枝に付く、材との関係
英国の解説では、ニワトコ属の枯れた枝や材に多く見られ、ブナ、カエデ類、トネリコなどの広葉樹にも記録される。掲載写真には、落ちたブナの枝から出た淡い若い体もある。どの木にでも必ず生えるという意味ではなく、資料の地域と基質を伴う生態である。 [2]
同資料は、枯れた材のほか、枯れかかった枝や生きた木との関係にも触れる。木の表面から耳が出ているからといって、枝の状態や菌の役割まで写真だけで確定できるわけではない。目につく子実体と、材の中で続く菌の活動を区別して考えることが大切になる。 [2]
日本の旧キクラゲを再検討した研究
日本ではAuricularia auricula-judaeという学名が、キクラゲに広く使われてきた。2018年の白水らの研究は、その名で扱われた資料を含む標本・菌株を、分子系統と形態の両方で再検討している。同じ学名が印刷されているだけでは、現在の種の範囲が同じとは限らない。 [4]
その研究で調べた二十六サンプルは、A. heimuer、A. minutissima、A. thailandica、A. villosulaの四種に同定され、狭義のA. auricula-judaeは見つからなかった。これは調べた資料に対する結果である。日本のすべての場所を調べ終え、存在しないと証明したという意味ではない。 [4]
同論文は、別にアラゲキクラゲとして扱われた群も検討し、その資料をA. corneaへ対応させている。キクラゲ、アラゲキクラゲ、欧州のJelly Earを、耳形で食用にされるという共通した印象だけで一つの種へまとめることはできない。和名と学名の対応にも研究の経緯がある。 [4]
似た耳の形を、種の結論にしない
欧州の解説は、より毛が多く淡い帯を作るAuricularia mesentericaも比較する。アジアの近縁種については、毛や内部組織、胞子、遺伝情報などを合わせて研究される。耳の大きさや褐色という一点だけを、世界の同属種を分ける万能な手掛かりにはできない。 [2] [4]
日本の古いキクラゲの説明や、アジアの栽培菌の写真を、そのまま欧州の狭義の種の分布や形態へ付け加えないことが重要だ。本ページの姿の参照は、欧州の種として示された写真に基づく。過去の学名が同じ文字列でも、何をその名で呼んだかを確かめている。 [4] [3]
Jelly Earという呼び名を、学名と読む
Jelly Earはゼリー状の耳という形をよく表す英語名で、Wood Earという呼び名もある。ここではジェリー・イヤーを英名由来の掲載呼称として使い、Auricularia auricula-judaeを添える。日本の標準的なキクラゲ全体を代表する和名として、この呼称を置き換えたわけではない。 [2] [3]
作品では、薄い褐色の耳、滑らかな内面、毛のある外面、材へ側方から付く関係を組み合わせている。分類研究が示す種の境界は、作品を眺めるだけで確定できるものではない。形の観察と、野外個体の同定や採食の判断を分け、名前の範囲を残して紹介する。 [4] [2] [3]
読み分けるポイント
日本でキクラゲと呼ばれる菌は、この欧州種と同じ?
一律に同じとは扱わない。2018年の日本産資料の再検討では、調べた二十六サンプルが四つの別種へ同定され、狭義のA. auricula-judaeは見られなかった。本ページは欧州の種を中心に扱い、日本に絶対に存在しないという断定へは広げていない。 [4]
作品:ドットで描く判断
以下は制作時の原文と作品である。参照名や造形判断は制作時の記録として保持し、上の図鑑の分類範囲と区別する。
背景と記録
ジェリー・イヤーの子実体は、耳や浅い杯を思わせる薄い形で、材へ横から付く。縁は丸みを帯びたり、波打ったり、折れ込んだりする。長い中央の柄の先に傘を開く菌ではない。何枚かが重なっていても、各々の耳の付着点と内側の向きを読むことができる。
BASE STUDYは資料の形態を踏まえた新しい創作原画であり、採集標本の写真ではない。サイズ別作品では実物の識別点を残し、構図と色面を独立して設計している。
姿の解釈
薄い褐色から赤褐色の耳形や浅い杯形。凹んだ内面は滑らかでゆるい皺がある。外面は細かな灰色の毛を帯びる。広葉樹材へ側方の短い部分で付着する。
ピクセルデザイン
64×64では褐色の耳形の薄膜、くぼんだ内面と局所的な付着部を識別の軸にした。整数格子で輪郭を接続し、細い器官と背景の境目を少数色の明暗で整えている。
補助作品と造形研究
24×24は識別点を少ない輪郭で整理した研究。補助64×64は別姿勢から形態を読む独立作品。128・384・768は構図・輪郭・色面・余白をそれぞれ設計し、BASEや小さい作品の拡大・トレースではない。
PIXEL ART / 24×24
特徴を絞り込んだ24×24作品。
BASE STUDY
ドットにする前に、体の比率と立体を検討した下描き。
褐色の耳形の薄膜、くぼんだ内面と局所的な付着部の立体と質感を検討した自然史イラスト。写真の複製や同定標本ではなく、資料の観察内容と創作的な表現を区別した完成原画である。
解像度別ネイティブ作品
NATIVE PIXEL ART / 128×128
識別点「褐色の耳形の薄膜、くぼんだ内面と局所的な付着部」を輪郭・主軸・交差色面で再構成した独立128×128作品。
NATIVE PIXEL ART / 384×384
器官数、付着と重なり、主軸を変え、128版とは異なる空間関係を設計した独立384×384作品。
NATIVE PIXEL ART / 768×768
識別構造の見せ方と姿勢・間隔を再構成し、大きい色面と細い構造の対比を設計した独立768×768作品。抽象色面は実際の生体色ではない。
特徴一覧
- 褐色の薄い耳形の体
- くぼみとゆるい折れ目のある内面
- 材へ横から付く短い接点
出典・参考資料
図鑑の参照資料・確認範囲
- GBIF:Auricularia auricula-judae の受理種レコード — GBIF Backbone Taxonomy
- Pat O’Reilly:Auricularia auricula-judae の形態と生態 — First Nature / Pat O’Reilly
- MycoKey:Auricularia auricula-judae の参照写真と呼称 — MycoKey / Jens H. Petersen・Thomas Læssøeほか
- 白水ら(2018):日本産キクラゲ類の分類学的検討 — Research authors / 日本菌学会会報
出典は、本文・要旨・書誌情報・データベース・検索結果の抜粋を区別して示しています。引用の範囲を超えて種の性質を一般化しないでください。
- GBIF:Auricularia auricula-judae の受理種レコード GBIF Backbone Taxonomy ↗
- Pat O’Reilly:Auricularia auricula-judae の形態と生態 First Nature / Pat O’Reilly ↗
- MycoKey:Auricularia auricula-judae の参照写真と呼称 MycoKey / Jens H. Petersen・Thomas Læssøeほか ↗
- 白水ら(2018):日本産キクラゲ類の分類学的検討 Research authors / 日本菌学会会報 ↗
このページでは、研究機関や公的資料で確認できる名称・分類・形態・分布の情報と、samesamebangbangによる造形の解釈を分けて書いています。特定の写真や図版を転載したり、そのまま模写したりはしていません。色や形には個体差があるため、ここに描いた姿を唯一の正解として示すものではありません。また、食べられるかどうかの判断や、採取・摂取のための資料でもありません。